言わずもがな知られた有名種 ダイオウサソリ。
今回はそんなダイオウサソリ (エンペラースコーピオン)について話します。
和名はダイオウサソリ、コウテイオソレサソリ、テイオウサソリ、コウテイサソリ、オオコガネサソリなどなど。英名はエンペラースコーピオン。学名はPandinus imperator。
分布域はアフリカ大陸中西部。詳しく言うとベナン、コンゴ民主共和国、コートジボワール、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、ナイジェリア、トーゴ 。
その他 ブルキナファソ、コンゴ、エリトリア、赤道ギニア、ガボン、ガンビア、ソマリア、スーダンあたりにも分布しているという情報もありますがあまりはっきりしていません。
昔はタンザニア便で結構来てたんですが実はタンザニア、分布域にないんですよね...
アフリカの生き物は基本的に1箇所にまとめられて来ますから正確な採取地が分からないんです。タンザニア便は今現在閉じていますから輸入はされません。
しかし輸入の多いエジプト便なんかが特にそうです。
周辺のアフリカやヨーロッパ、中東あたりからもごそっとまとめられて持って来られます。昔 マリ産ダイオウも見ましたがほんとうにそこから取れたんでしょうか...
タンザニア便がこなくなってからは2019年にトーゴから輸入がありました。エンペラースコーピオンはサイテスII類指定(わかりやすく言うとワシントン条約で輸入できる数に制限があると思って頂ければ大丈夫です。)ですので、やたらめったら入れられるわけではありません。
それにより、輸入がイマイチ安定しませんね。
まあ昔はサイテスの意味ないくらいまとまった数が一気に来ててアフリカで乱獲されていることが丸わかりでした。
それもありますので、是非とも皆さまには繁殖を目標に頑張って頂きたいです。
このように数が少ない生き物の消費的飼育はいけません。
ちなみにサイテスに入っているサソリは全てオソレサソリ亜科(Pandininae)で、具体的にはコウテイオソレサソリ(エンペラー)(Pandinus imperator)、ドクサイナガメオソレサソリ(ソウトウサソリ、オオダイオウサソリ)(Pandinopsis dictator)、ガンビアオソレサソリ(Pandinus gambiensis)の3種です。
Pandinus roeseliも登録されていましたが今はP. imperatorのシノニム(同種扱い)になりました。
これらの種類はオソレサソリ亜科の中でトップを争う大きさで、非常に人気が高いです。
それゆえに密輸が不安なところです。特にアメリカがこの属好きなようで、結構密輸があるみたいです。
Pandinus ulderigoiが新記載され、この種も結構な大きさになるのでサイテス入りが望まれますね。
ドクサイナガメオソレサソリ(Pandinopsis dictator)はソウトウサソリやオオダイオウサソリなどという名前で日本でもペットルートに乗りました。この種についての説明もいづれ。
さて次なに話しましょうかエンペラーのことについてはスラスラ出てきますのでご了承くださいましーー大きさについていきましょう。
最近入ってくるエンペラーはせいぜい12〜15cm、ごく稀に16、17くらいのもいますがもうほぼいません。何年も前には20cm近いサイズのがダイオウサソリキングサイズ!とかって名前で数万円で売られていましたがもうサソリに万券使う人がほぼいなくなったので日本にでかいのはきません(笑)
でかいのは全部ヨーロッパとアメリカへ...
まず日本はButhidae規制で輸入がめんどくさいので後回しにされるんですよね。
もうその時点で大きいのいないのに大きいのは高いから日本人はほぼ買わない...
そんなこともあって今くるエンペラーはちっこいのばっかりです....
普通にアジアンフォレストよりちっこい可能性もあります。悲しいですねぇ。
あとエンペラーが世界最大種とよく言われますがおそらく違います。
一番大きいのはインドに分布するインディアンジャイアントフォレストスコーピオン(Gigantometrus swammdermi)。こいつは平気で20cmを超えます。なんと29cmオーバーの記録もあるとか。
エンペラーはそれに次いで2番目ということになっております。
しかし同じくアフリカのぺったんこサソリ、サウスアフリカンフラットロックスコーピオン(Hadogenes troglodytes)が21cmの記録あり、他にもアジアンフォレストの仲間や先程あげたサイテス種の中にもエンペラーサイズ超えてくるやつはいるカモ...なんとも微妙な立ち位置ですよね....最大サイズについて詳しくははまたいずれ。
そういえばシノニムについて詳しく言ってませんでした。先程、P. roeseliがジュニアシノニムにされたことは言いましたが他にもP. africanus、P. simoniもジュニアシノニムにされております。P. africanusはP. imperatorよりも大きいと囁かれ、アフリカンブラックスコーピオンなんて名前もついてましたが結局同一種に...
属名についてなんですがエンペラー、結構初期から記載があって、1800年代頃から記載があります。その頃は殆どがサソリ属(Scorpio)やウシコロシサソリ属(Buthus)になっていました。本種も例外ではなく"Buthus imperator"になっておりました。
もちろんそこから分類が進み、アジアのをカワリハカリサソリ亜科(Heterometrinae)、アフリカのをオソレサソリ亜科(Pandininae)としたようです。
一回サソリ属、イスラエルゴールデンスコーピオンがいる属ですが...、に入れられたこともありましたがPandinus属で落ち着いております。
さて、毒性についてですが人によりますが刺されると腫れる程度が殆どです。
ただ人によっては結構酷く腫れたり、アナフィラキシーショックの可能性もあるので刺されないようにしましょう。
学名Pandinus imperatorからとってパンディノトキシン(Pandinotoxin)と言われる毒とイムペラトキシン(Imperatoxin)という毒を持っていると言われています。
構造式知りたい...
ここから高校化学になりますがイムペラトキシンはC₁₄₈H₂₆₀N₅₈O₄₅S₆ という分子式になるようです。 うわあ。これの構造異性体全てかけって言われたら殴りたくなるような数...
珍しい硫黄Sが入っているところを見るとジスルフィド結合でもしてんでしょうか。構造式は見たことないので知りません笑
窒素Nはこんなにもどう繋げたらいいのか...だれか構造式教えてください。
と思ったら出てきました。→構造式
ひええ...話がそれました。そういえばダイオウサソリって尾節(毒針のとこ)が普通黄色〜オレンジ色なんですけど(幼体は黄色、成体はオレンジ)、ここが真っ黒になるやつもいるんです。これは老衰によるものと思われます。但し老衰したダイオウサソリ全個体がなるわけではなく、個体差があるようです。全身真っ黒で大好きです....
あとは飼育法ですか。えーと温度は25〜30度くらい、湿度は80%を目安にやれば特に問題ないかなと。いわゆる多湿系サソリの飼い方で。筆者出版 「蠍飼育書」にも書いてありますので読んでみて下さい。→ご購入
温度は25あるといいかなと。幼体のうちは28~30℃と高温管理が良いですね。
湿度は床材湿らせておけばいいです。水を床から飲むので水入れはなくてもいいですし、多少の乾き対策に入れてもいいです。
爬虫類用のやついれてあげましょう。つるつるの百均のお皿は滑って溺れますので。
サソリは息を吸うのはお腹の下側からなのですぐ溺れます。気をつけてあげてください。特にベビー。
繁殖は結構簡単で、オスメス同時に同じケースに入れるとやり始めます。
またこれも詳しく書きますね。雌雄判別は結構やりやすいです。
裏側のペクチン見るとペクチンの大きさや生えている歯の大きさがオスの方が結構長いです。その上に付いている生殖口蓋もわかりやすいかなと。
ベビーも餌あげまくれば2年くらいで成熟します。餌の量はもう食べるだけあげましょう。
とりあえずざっとこんな感じでしょうか。足りないものあったらまた後から付け足します。
定期的に販売できるよう繁殖させておりますので要チェック!