前回、「雑種をつくらない為に」ということで繁殖について、
雑種を産み出さないようにする方法について話しました。
雑種になってしまった場合、批判されることが多々ありますが、
例えば違うカラーフォーム同士混ぜてもかなり賛否を産むと思います。
なぜ皆さんはここまで純血を保とうとするのかについて話していこうと思います。
生き物についての意見は人によって違います。
今回述べるのはあくまで私の個人的な意見です。
純血を保つ理由が他にある人もいらっしゃいますし、あまり気にしない人もいます。
また、仕方がない場合も当然あります。
特定個人への批判ではなく、単なる私の意見を述べます。
1.不可逆性
まずは不可逆性について。
小難しいことを書きましたが元に戻せないということです。
一度ハイブリッドが流通してしまうとそこからまた交雑がされたりして手に負えなくなります。
今回もタランチュラの例を出しますが例えばブラキペルマのレッドニー系。
これは既にほとんどの人が諦めております(多分)。
CBがメインで流通する種類で、繁殖の歴史が長いため、どこで何の種類の血が入れられているか分からなくなってしまっている現状です。
歴史が長ければその分いろんな人が繁殖をさせているわけですからもうわけがわかりませんよね。
こうすると純血種が欲しくなった人が入手することがほとんど不可能になってしまいます。
ブラキペルマに関してはワシントン条約にて保護されている種類ですので野生採取個体がほぼ流通していない為なかなか純血は入手困難なわけです。
他の種類に関しましても、生き物の輸入というものは不安定で、野生採取個体が突然流通しなくなることが多々多々あります。
純血種が欲しくなる人の為にも、一回たりとも別種の血を入れないということが大切になってきます。
2.雑種崩壊
これまた小難しい単語を書きましたが
要は雑種になった場合、それらが生殖能力を持たなくなったり弱い個体になったり、はたまた累代が進んだ時にそれらが起こったりしてしまうことは残念ですよね、ということです。
こういったことは非常に問題視されていることです。
例えば有名なハイブリッドでいうとライオンとトラの雑種であるライガーやタイゴン。(タランチュラじゃないんかい)
本来地理的に隔離されている2種が自然下で交雑することはあり得ないとされていますが人工的に交雑することが可能なようです。
ライガーもタイゴンも先天的な疾患等により成熟前に死んでしまう個体が多い様です。
生殖能力に関しても例外はあるもののほとんどが繁殖ができなくなる様です。
そういった倫理的な問題から現在は産出が規制されているらしいです。
タランチュラに関しても一緒で、(種類にはよりますが)交雑種は産まれてまもなく死ぬ場合もあれば成熟手前で死ぬ個体もいます。あまり成長せず死ぬパターンも多いですね。
全個体がそうではなく、成熟する個体も多いです。成熟した個体でも、その先、子を産み、その子に同じような影響が出たりすることもあります。
1世代2世代死ぬ個体がいなかったりしてもノープロブレムとは断言できないわけです。
これらは当然目に見えないわけで、この個体は成熟前に死にそう、というのは明らかに成長が遅かったりしない場合は分からないわけです。
ペットとして飼育する場合そのような弱い個体にあたってしまうと悲しいですよね。
それを極力防ぐためにもハイブリッドを産み出さない努力が求められるわけです。
3.別種や別亜種になる可能性
前回、「産地情報が非常に大切」、とか「なるべく同じ便で」と言いましたが、
これは今は同種扱いでも後々種や亜種が分かれる可能性があるからです。
前回も述べました、コバルトブルータランチュラのノーマルフォームとミッドナイトブルーでは種が違うのではないか、と言われています。
前回述べたアイボリーオーナメンタルのハイランドフォームとローランドフォームの違いもそうです。
種類が分かれた場合、その両種の純血が欲しくなる人はいます。
しかし流通しているものは両種のハイブリッドまたはよくわからないものだと純血の入手は困難になりますよね。
そんな場合、同じ場所で採れた個体同士で繁殖させていれば純血である可能性は高まります。
この様に、別種や別亜種になった場合にでも純血種/純血亜種であると言えるように同産地で繁殖させたいですね。
最後に
ハイブリッドに関して思うこと
ハイブリッドに関しては人により意見が違うと思います。
私もハイブリッドを頭ごなしに批判するつもりもないです。
仕方がない場合も多々あります。最初は同種と思われていたものでもそこから分化されることもありますし、前回話しましたが産地がそもそも間違っている可能性もあります。
そんなときに繁殖者を批判してしまうのはお門違いですよね。
そんなことをしてタランチュラの繁殖家が減るのも悲しいことです。
野生採取による乱獲の影響も確実にあり、
消費飼育も推奨されるべきものではないと思います。
そうなると繁殖させることは必要だと思います。
そんな時に詳細な産地情報が分からないから繁殖させないということも、
乱獲防止のためにCBを出すのも分かります。
どちらが正解かは人によりますよね。
また、ハイブリッドである生き物にも罪はありません。
ハイブリッドの疑惑が浮上した場合やるべきことは、
繁殖に使わないこと。
ラベルに雑種の可能性があると書くこと(販売する予定がない場合でも)。
ちゃんと愛情をもって飼育してあげてください。
当店では雑種を販売することがないように厳重に確認しながら販売をしております。
怪しい種類に関しましては販売を極力自粛しております。
万が一、販売個体に雑種の可能性が浮上した場合はしっかりと公表します。
繰り返しますがタランチュラ等繁殖をお考えの方は一度有識者にご相談下さい。
当店の個体は販売させて頂いた際のラベルがあれば出処はわかりますのでご相談ください。