爬虫類のモルフを学ぶ上で良く耳にする「アザン」や「アネリ」。

色彩変異について難しい用語ですが詳しく説明していきます。

ちなみに当店ではモルフモノをイベントでの委託以外で売ることはありません.........悪しからず







Xanthic ザンティック 黄化

Axanthic アザンティック (アザン) 黄色色素欠乏

Cyanistic シアニスティック 青化

Hypoxantic ハイポザンティック 黄色色素減少



Erythristic エリスリスティック 赤化

Anerythristic アネリスリスティック (アネリ) 赤色色素欠乏

Hypoerythristic ハイポエリスリスティック 赤色色素減少



Melanistic メラニスティック (メラニ) 黒化

Pseudomelanistic プセウドメラニスティック 黒色模様肥大

Amelanistic アメラニスティック (アメラニ) 黒色色素欠乏

t+アルビノ

t-アルビノ

ラベンダーアルビノ

リアルアルビノ

Albino アルビノ 色素欠乏

Hypomelanistic ハイポメラニスティック (ハイポ) 黒色色素減少

Leucistic リューシスティック (リューシ) 白化(色素脱失)

Piebald パイボールド (パイド)

Isabellinistic イザベリニスティック






Xanthic ザンティック 

黄化


ザンティック(Xanthic) は黄色の色素が強く発現する個体に使われる単語です。古代ギリシャ語で"xanthous"は"黄色"を表します。



ザンソクロミズム(Xanthochromism) 又はザンチズム(Xanthism):生物が黄色色素を過剰に生成してしまう突然変異。食べ物によって引き起こされる場合もあるようです。一般的に赤色色素形成の代わりに黄色色素形成を行ってしまうことによって起こるようです。



つまり体色が黄色くなります。

黄色っぽいツノガエルや黄色っぽいインコなどが例に挙げられます。






Axanthic アザンティック 

黄色色素欠乏


「ザンティック(Xanthic)」は黄色の色素が強く発現する個体に使われる単語ということを説明しました。アザンティック(Axanthic)はそのXanthicに否定のAが付いた感じです。

つまり、黄色色素が欠乏している個体のことです。

日本では略して「アザン」と呼ばれることが多いです。  



アザンチズム(Axanthism):生物が黄色色素を生成する能力を阻害する突然変異。黄色素胞(xanthophores)とカロテノイド小胞(carotenoid vesicles)の量に影響が出ます。また、赤色の発色に関係する赤色素胞(erythrophores)に影響が出ることもあり、この場合黄色と赤色両方が弱くなることになります。



本来緑色の生物 (例:アマガエル) では青色に見えます。

生物の緑色は青色の波長の光が黄色素胞のカロテノイド小胞で反射することによって出来ているからと言われています。これらの量が少ない、又は消失していることにより青色の光がそのまま反射し、青色に見えるわけです。
但し灰色や黒色になることもあり、それらはメラニズムのように見えることもあるようです。そもそもの反射する光の量が減り、このような現象が起きていると考えられています。

一方、本来黄色の生物では白く見えます。



爬虫類では白色と灰色/黒色のモノトーンになる種類が多いです。



ウーパールーパーでは黒い斑点が散在する明るい灰色になり、フトアゴヒゲトカゲでは暗い灰色模様があるクリーム色の体色に、グリーンイグアナでは青色に(ブルーイグアナ)、モニターでは灰色や黒色になります。






Cyanistic  シアニスティック 

青化


シアニスティックとは黄色の色素がなく、青色に見える個体を指します。アザンティックと同義と考えられていますが、特にオウムではこの用語が用いられることがあります。


シアニズム(Cyanism):黄色の色素が全くないこと。結果として青く見えます。詳しくはアザンティックの欄を参照。







Hypoxantic  ハイポザンティック 

黄色色素減少


「ザンティック(Xanthic)」は黄色の色素が強く発現する個体に使われる単語ということを説明しました。ハイポザンティック(Hypoxantic)はそのXanthicに"通常より少ない"という意味の"Hypo"が付いた形です。



つまり、黄色色素が減少している個体のことです(ハイポザンチズム Hypoxantism)。



黄色色素が消失しているものがアザンティック、通常より少ないものがハイポザンティックです。







Erythristic  エリスリスティック 

赤化


エリスリスティック(Erythristic) は赤色の色素が強く発現する個体に使われる単語です。古代ギリシャ語で"erythro"は"赤色"を表します。



エリスリズム(Erythrism) 又はエリスロクロイズム(Erythrochroism):生物が赤色色素を過剰に生成してしまう突然変異。食べ物によって引き起こされる場合もあるようです。



つまり体色が赤くなります。

ピンク色のバッタなども例に挙げられます。








Anerythristic  アネリスリスティック 

赤色色素欠乏



「エリスリスティック(Erythristic)」は赤色の色素が強く発現する個体に使われる単語ということを説明しました。アネリスリスティック(Anerythristic)はそのErythristicに否定のAnが付いた感じです。

つまり、赤色色素が欠乏している個体のことです。

日本では略して「アネリ」と呼ばれることが多いです。 



アネリスリズム(Anerythrism):赤色色素が欠乏する色素異常。


蛇に多く知られ、コーンスネークでは白黒に見えます。白黒/黄色に見える蛇もいます。






Hypoerythristic  ハイポエリスリスティック 

赤色色素減少


「エリスリスティック(Erythristic)」は赤色の色素が強く発現する個体に使われる単語ということを説明しました。ハイポエリスリスティック(Hypoerythristic)はそのErythristicに"通常より少ない"という意味の"Hypo"が付いた形です。



つまり、赤色色素が減少している個体のことです(ハイポエリスリズム Hypoerythrism)。



赤色色素が消失しているものがアネリスリスティック、通常より少ないものがハイポエリスリスティックです。






Melanistic  メラニスティック

黒化



メラニスティック(Melanistic) は黒色の色素が強く発現する個体に使われる単語です。古代ギリシャ語で"melas"は"黒色"を表します。

日本では「メラニ」と略されます。



メラニズム(Melanism) :生物が黒色色素(メラニン)を過剰に生成してしまう突然変異。色素性の腫瘍を引き起こすものもあり、それら悪性のものは「メラノーシス(Melanosis)」と呼ばれています。



つまり体色が黒くなります。



クロヒョウ(ヒョウのメラニスティック)やクロジャガー(ジャガーのメラニスティック)、カラスヘビ(シマヘビのメラニスティック)など様々な例が挙げられます。











Pseudomelanistic プセウドメラニスティック 

黒色模様肥大



プセウドメラニスティック(Pseudomelanistic)とは黒い部分が通常より大きい個体に使われます。メラニスティック(Melanistic)に"偽の"という意味の古代ギリシャ語"Pseudo"が付いた形です。



プセウドメラニズム(Pseudomelanism)又はアバンディズム(Abundism):生物に存在する黒い部分が通常より大きくなる突然変異。



黒い斑点が通常より大きい"キングチーター"や黒い縞模様が太いトラやシマウマが例に挙げられます。キングチーターは元々別種と考えられていたようです。シマウマに関しては通常白い部分の方が大きいですがプセウドメラニスティックのシマウマでは逆転し、黒色の部分の面積の方が大きくなる個体が存在するようです。また、黒色に白色の斑点模様が入る"ポルカドットゼブラ"も存在しています。 トラでは、ホワイトタイガーにもプセウドメラニスティックは存在しているようです。海外ではプセウドメラニスティックの虎は"ブラックタイガー"と呼ばれることもあるそうですが日本だとどうしてもエビのイメージが強いですよね... 











Amelanistic アメラニスティック 

黒色色素欠乏



「メラニスティック(Melanistic)」は黒色の色素が強く発現する個体に使われる単語ということを説明しました。アメラニスティック(Amelanistic)はそのMelanisticに否定のAが付いた感じです。



つまり、黒色色素が欠乏している個体のことです。

日本では略して「アメラニ」と呼ばれることが多いです。  



アメラニズム(Amelanism):黒色色素(メラニン)の色素異常で、チロシナーゼの機能の喪失が原因と考えられています。通常、チロシンにチロシナーゼが働き、最終的にメラニンになります。このチロシナーゼの機能が失われるとメラニンを生成できないわけです。これは、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類全てに見られる色素変異で、人間でも起こり得ます。



日本ではこのアメラニズムを「アルビノ」と呼んでいます。黒色色素を生成するのに必要な酵素チロシナーゼを一応生成出来るが不活性の個体を「t+アルビノ」(tyrosinase positive albino)、チロシナーゼが全く生成できない個体を「t-アルビノ」(tyrosinase negative albino)と呼びます。

蛇などでは「t+アルビノ」を「ラベンダーアルビノ」、「t-アルビノ」を「リアルアルビノ」と呼ぶこともあるようです。

爬虫類やダンゴムシなどでは、
「t+アルビノ=ラベンダーアルビノ」は体色は黄色や桃色で柄がしっかり見える個体が多く、「t−アルビノ=リアルアルビノ」は体色は白く、赤い目をしている、後述の狭義アルビノな感じです。











Albino アルビノ

色素欠乏



アルビノ(Albino)とは先ほど述べたアメラニスティックのことを指す場合が多いです。広義では色素異常全般を指す言葉としても使われるようです。狭義のアルビノは色素が消失した個体を指します。アルビニズムに関しては以下の通りです。



アルビニズム(Albinism):色素が欠乏した色素異常。毛や羽、鱗や皮膚が白くなり、眼は赤く見えます。



両生類、魚類、爬虫類、甲殻類、軟体類などは色素胞(chromatophore)によって色素が生成されます。哺乳類と鳥類ではメラニン細胞(melanopcyte)によって色が決定されます。狭義のアルビノではこれらが消失しており、色彩を表現できません。



色素胞

黄色素胞(xanthophore)→黄色

赤色素胞(erythrophore)→赤色

黒色素胞(melanophore)→黒色/茶色

青色素胞(cyanophore) (一部種)→青色

虹色素胞(iridophore=guanophore)(一部種)→明るい青色/緑色

白色素胞(leucophore)(一部種)→白い輝き



殆どの色素は特定の波長の光を吸収することによって色が見えます。但し白色素胞と虹色素胞では光の散乱や干渉の特性によって輝いて見えます。

ヒョウモントカゲモドキのレモンフロストはこの虹色素胞の影響みたいですね。




Hypomelanistic  ハイポメラニスティック

黒色色素減少



「メラニスティック(Melanistic)」は黒色の色素が強く発現する個体に使われる単語ということを説明しました。ハイポメラニスティック(Hypomelanistic)はそのMelanisticに"通常より少ない"という意味の"Hypo"が付いた形です。

ハイポがつくものはハイポザンティックやハイポエリスリスティック、ハイポメラニスティックがありますが、日本では特にハイポメラニスティックを「ハイポ」と略しているようです。



ハイポメラニスティックとは、黒色色素が減少している個体のことです(ハイポメラニズム Hypomelanism)。



黒色色素が消失しているものがアメラニスティック、通常より少ないものがハイポメラニスティックです。







Leucistic リューシスティック

白化



リューシスティック(Leucistic)とは白化個体のことで、部分的に白くなっている個体を指します。日本では「リューシ」と略されます。古代ギリシャ語の「白い」を意味する「Leukos」が語源です。



リューシズム(Leucism):生物の色素が部分的に失われる色素異常。後述パイド/パイボールド、イザベリニズムはリューシズムの一種です。






Pied / Piebald パイド/パイボールド



リューシスティックの一種。パイド(Pied)又はパイボールド(Piebald) はパイボールディズムの個体を指します。Piedは対照的な色が交互に並ぶ衣装が語源です。



パイボールディズム(Piebaldism):先述リューシズムの一種で、特に蛇においては目が黒いままで全身が白くなっている個体が「リューシスティック」、体の特定部分が白くなっているものが「パイド」や「パイボールド」と区別されます。

パイドやパイボールドは蛇以外にも馬や牛、犬や猫、カラスなど様々な生き物に見られます。先天的なものと後天的に怪我などから引き起こされるものがあります。











Isabellinistic  イザベリニスティック 



イザベリニスティック (Isabellinistic)とは、イザベリニズムの個体を指します。



イザベリニズム(Isabellinism):リューシズムの一種で、通常羽毛が黒い鳥類においてそれが退色する色素異常。ペンギンが例に挙げれらます。