爬虫類飼育界隈に足を突っ込むと、まずこれら略称を目にすると思います。

初めは何のことか分からないと思います。

初歩の初歩とされることですがたまに聞かれたり誤用が見受けられますので一度解説しておきます。


とめ

WC = 野生採取個体

FH 現地繁殖個体

CH = 持ち腹繁殖個体

CB 飼育下繁殖個体

WD = 野生採取個体

CR飼い込み個体

LTC飼い込み個体

FCB = 現地繁殖個体

CF = 現地繁殖個体


以上纏めておきました。赤字のところが、日本のエキゾチックアニマル界隈でよく見かけるものです。詳しく説明していきます。 

WC


WC = Wild Caught = 野生採取個体

WD = WilD = 野生採取個体


爬虫類や奇蟲では基本的に"WC"が使われていますが、カブトムシ・クワガタムシ界隈や熱帯魚界隈では"WD"が使われることが多いですね。意味はどちらも同じです。


野生で採取された個体。爬虫類においては寄生虫が多い個体や、状態の悪い個体、性格が荒い個体、神経質な個体などが多い傾向にあります。また、いつ産まれたかが分からないので突然寿命がくるという恐れもあります。

但し、状態の良い悪いは輸送の状況によりますので、一概には言えません。

アフリカのWC個体で昔は状態の悪いものばかり入ってきていたイメージのある種類でも、近年状態の良い個体ばかり来ている、といったパターンも結構あります。


寄生虫はお店によっては駆虫して販売されているところもありますので、こちらも一概には言えません。一度聞いてみると良いでしょう。


但し、爬虫類を飼育し始めたばかりの時にWCを買うのはあまりお勧め出来ません。繁殖個体を買う方が良いかと思います。


WC個体は繫殖個体と比べて値段が安い傾向にあり、安いからという理由で買う人が多いのですが、初心者の方は多少高くとも繁殖個体を買うべきかなと思います。特に多いのがボールパイソンです。慣れた人以外はWCに手を出すべきではないと思います。

虫においてはタランチュラ以外ほとんどがWC個体の輸入に依存していますので、そもそもWC個体と繫殖個体を選べない場合も多いですね。虫においては繁殖個体は性格が大人しくなるというのもあまり聞きません。WC個体のデメリットとしては状態の良し悪しと残り寿命が分からないことくらいでしょうか。特に虫は輸入されてからテキトーに売られることが多く、脱水状態になっていることが多々あります。買ったらすぐに水を多量に飲ませましょう。


飼い込み個体


CR = Captive Raised = 飼い込み個体

LTC = Long Term Captive = 飼い込み個体


日本では"飼い込み個体"と言われ、主に爬虫類(その中でもオオトカゲなど)に使われています。


基本的には野生で採取された(この時点ではWC)後に、数年飼育された個体を指します。WC個体の懸念点である「状態が悪い」ことも少なければ、「寄生虫」の心配も少なく、WC個体よりは比較的安心して買うことが出来ます。

一部種においては飼い込まれることによって人間に慣れ、これも扱いやすくなる理由の一つです。

数年管理されていた分の管理費が上乗せされることによってWC個体より値段がややあがることが多いですがその価値は十分にあります。

虫においてはあまり意味がないのでほとんど使われませんね。


FH


FH = Farm Hatched = 現地繫殖個体

CF = Captive Farmed = 現地繫殖個体

FCB = Farm Captive Hatched = 現地繁殖個体


基本的に、生息している国で殖やされた個体を指します。

一部爬虫類は現地で食用やペット用として繁殖場が存在する場合があります。

タイにはトッケイヤモリのファームがありましたし、トーゴにはボールパイソンやサバンナモニターのファーム、チリにはチリアンコモンタランチュラの繫殖場もありますね。

現地のファームがどれくらいの清潔さで管理されているかによるので一概には言えませんが、管理が微妙だとWC個体とさほど差はなかったりします。管理が行き届いていれば飼育下繁殖個体(CB)と変わらない程状態が良いのが来ます。

トーゴからボールパイソンやサバンナモニターのFHがかなりの量輸入されていますが両種とも非常に小さい大きさで送られて来ますので、輸送のストレスからか状態が悪い個体がやや見受けられます。ボールパイソンで言うと、餌を食べない個体がたまにいたり、サバンナモニターはポツポツ死んでいったりしますね。但しサバンナモニターはCBが全然出ていないのでFHかWCを買うしかない状況です。ボールパイソンに関してはCBがかなり出ていますので初心者の方は値段で選ばず、CBを選ぶと良いと思います。


CH


CH = Captive Hatched = 持ち腹繁殖個体

たまに持ち腹CBと書かれることもあります。


ショップによってはCBと表記されることもありますが、CBとCHは異なります

持ち腹とは野生で採取された個体で、野生下で妊娠をしていた個体のことです。持ち腹個体から産まれた個体をCHと称します。

CBとCHでは交尾/交接させたのかどうなのかが変わってきます。

ほとんどの種類で、この交尾/交接行動はかなり難易度が高い為、これをしたのかしてないのかは大きな違いです。

但し、産まれてくる子供に関しましてはCBと差はほとんどない為、CBかCHかは繁殖者がすごいのか引きが良かったのかの違いです。勿論種類によってはCHを誕生させるのも難しいので、CHを蔑んでいるわけではありません。但しどうすれば交尾/交接するのか必死に試行錯誤してらっしゃる方もいるため、安易に混同させるべきではないと思います。


また、飼育下で累代が重ねられた種類は累代が浅いものより飼いやすい種類もいます。

ここもCHとCBの差でしょう。ヒョウモントカゲモドキは現在では累代が進み、顔の形が変わってきていますね。


広義には採卵してきて孵化させた個体を含みます。その場合は採卵孵化個体などと詳細を書く人もいます。


CB


CB = Captive Bred = 飼育下繁殖個体


飼育下で交尾/交接をさせ、繁殖させた個体です。

WC(野生採取)個体と比べると状態が良い個体が多かったり、寄生虫が少なかったり、種類によっては性格が大人しいといった良いところが沢山あります。


CB個体が出ている種類に関してはなるべくCBを買うと良いと思います。

繁殖者の力にもなりますしね。


CBを産み出すのは時間やお金がかかりますので、CB個体が売っていない種類も多いです。その場合はWC等を買うしかないのですが、その場合はなるべくなら繁殖させたいですよね。輸入に依存するスタイルではいつか飼えなくなる可能性がありますし、採取圧は個体数の減少、ひいては自然破壊の要因になりかねません。これが、当店がなるべくWCを売りたくない理由です。

飼育下で繁殖してエキゾチックアニマル界隈をCBだらけにしたいですね。

繁殖させる気がないのであれば、CBが出ている種類のCBをしっかり飼うと良いと思います。