え~今回はタイランドブラックと呼ばれる、タイから来ている黒いタランチュラについて語っていきます。ムカデのことだと思った方はすみません。タランチュラの方です。
タイランドブラックと呼ばれる種類の輸入時の学名を見てみると、
Cyriopagopus minax "Big Black"とされています。しかし、日本に来ているそのほとんどがC. minax でないという人が多くいます。繫殖させる場合はご注意を。
最近ではCyriopagopus vonwirthi "BIg Black" とされていますね。
Cyriopagopus minax
とりあえずC. minaxについてみていきましょう。
Thorell氏によって1897年に記載された種です。当時はMelopoeus属の種として記載されました。当時は当然写真はなく、特徴が文章で書かれていました。
Thorell T. 1897. Viaggio di Leonardo Fea in Birmania e regioni vicine. LXXIII. Secondo saggio sui Ragni birmani. I. Parallelodontes. Tubitelariae. Annali del Museo Civico di Storia Naturale di Genova 37: 161-267.
その後Ornithocotonus属やHaplopelma属を経由し、現在のCyriopagopus属になりました。記載が古く、写真が存在していなかったことから、同定はかなり困難です。また、タイには黒いタランチュラが数多く存在しています。体色で判断できないので同定には細部の形態的差異を見るしかありません。
分布域はタイとミャンマーが報告されています。タイではターク県ウムパーン郡とカンチャナブリ県エラワン国立公園 にいわゆる本物の"C. minax"がいると言われています。最近ではチェンマイ県北部にも本物がいると言われ始めています。
Cyriopagopus vonwirthi
Schmidt氏によって2005年にHaplopelma属として記載されました。
記載論文には少しのスケッチと1枚の写真がありましたが他の細部等よくわかりません...
Schmidt G. 2005. Haplopelma vonwirthi sp. n., eine neue Art der Haplopelma minax-Gruppe aus Südostasien (Araneae: Theraphosidae: Ornitoctoninae). Tarantulas of the World 103: 4-12.
このあたりの黒いCyriopagopusは専門家でも同定が難しく、解剖しないと分からないものもいるそうです。
もし繁殖させる場合は本当に気を付けてください。「タイランドブラック」しか情報がない個体に関しては繁殖を控えてください。特に別便なら別種の可能性は十分に考えられます。