前回もお話ししましたが、黒いアースタイガーは繁殖の際には十分に注意が必要です。

まず、同定が非常に困難であるということです。

同じ流通名であろうと複数種を指していることが多いので注意しましょう。

例えば「タイランドブラック」という名前は非常に多くの種類を指しています。

中にはCyriopagopus属ではなくChilobrachys属の種類もこの名前で売られているのを確認しました。

詳細な産地情報が分かっており、同便であれば余程大丈夫だとは思いますが、

現地で複数個所から集荷されている可能性もあります。


今回繁殖に使用した個体について説明しておこうと思います。


まず、写真を。こちらが今回かけた老成メスです。

そしてこちらが今回かけた若いメスです。


そしてこちらが今回かけたオスです。




出自に関しまして、3個体共、原産地は ミャンマー タニンダーリ地方 ダウェイ県です。


タイの主に虫を取り扱う業者がミャンマーから輸入し、そこから私が輸入致しました。

タイの業者は私の中ではかなり信用できる人で、先日のタイ便を見て頂ければわかると思いますが全ての個体の県名までの産地情報を教えて頂き、実は種類によっては県名以降の詳細な産地も聞いています。

採取圧やその他色々な問題を孕んでいますので県名以降は公表いたしませんが。


ミャンマーには本物のCyriopagopus minaxがいるとされており、今回の個体もC. minaxである可能性は高いです。しかしこれらの同定は非常に困難で、自信を持ってそうですとは言えないので学名は

Cyriopagopus cf. minax "Dawei"

とします。

ただ、今回繁殖させた個体同士は同種であると思っています。


また、今回繁殖させたメスは真っ黒で、オスも最終脱皮するまでは黒かったです。

実はミャンマーのタニンダーリ地方ダウェイ県にはもう一つカラーバリエーションがあるようで、

明るい茶色っぽい色の個体もいるようです。これは地域差ではなく同所的に分布しているようです。

これらをLCF、DCFと呼ぶのであれば今回の個体は全てDCFです。


これらが同種かどうかも分かりませんので私はDCFだけで繁殖をさせました。

ハイブリットをつくらないよう最善の注意を払って行っております。

今後とも気を付けていきたいと思います。